イタリア語万華鏡6 『 有名人と無名人 』

055.gif  『イタリア語万華鏡』 古浦敏生より 

6 『 有名人と無名人 』

“妻の浮気に気づいた夫が、相手の男を殺してその心臓を料理し、浮気妻に
食べさせる”という物騒な話も載っている『デカメロンDecameron十日物語』
であるが、その著者ジョヴァンニ・ボッカッチョ Giovanni Boccaccio (1313~
75)はもちろん有名人である。
ジョヴァンニは「名」で、ボッカッチョは「姓」である。広島市内のスーパーには
「でかメロン」という大型のメロンパンがかつて売られていた。
イタリア人文法家によると、“姓・名はともに通常無冠詞のままで使用されるが、
有名人の姓には定冠詞が付けられる”とされている。したがって、ジョヴァンニ
はGiovanniと無冠詞で、ボッカッチョはil Boccaccioと定冠詞とともに
用いられる。
他方、同じ文人ではあっても、パリーニPariniやフォスコロFoscoloは無冠詞
である。長編叙事詩『神曲』の著者ダンテDante (1265~1321)はもちろん
有名人であるが、ダンテは名であるので、無冠詞で用いられる。
彼の姓アリギエーリにはl’ Alighieriと定冠詞が付く。
さて、このような文人(必ずしも文人に限られるわけではないが、ここでは筆者の
調査の関係上、文人に絞っている)の有名度はどのようにして測定されるので
あろうか?刊行年代の異なる2種類の『イタリア文学史』を資料として調査を進めた
結果、“文学史上に名を残した古い作家には定冠詞を付し、未だ評価が確定して
いない現代作家は無冠詞とする”ということが分かった。
そして、“古い作家と現代作家とを区別する新旧の分岐点は、ルネッサンスの
終焉期(1650年頃)やイタリア独立(1861年)の頃と一致していて、こういった
文化的・政治的大変革と連動して定冠詞の使い方も変化することになる”という
事実が判明した。


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カテゴリ:イタリア語万華鏡 古浦敏生

古浦敏生(こうら・としお)
広島日伊協会理事 故マリーザ・バッサーノさんよりイタリア語を学ぶ。
広島大学名誉教授。言語学専攻。
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by hiroshimaitaly | 2011-09-26 10:36 | イタリア語万華鏡 古浦敏生

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