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イタリア語万華鏡13 『 ブォナセーラとセーラ 』

055.gif  『イタリア語万華鏡』 古浦敏生より 

13 『 ブォナセーラとセーラ 』

イタリア語会話の授業で、まず最初に習うのは、ブオンジョールノ Buon giorno.と
ブオナセーラ Buona sera.である。Buon giorno.は「良い日を(お過ごしください)」
が原義で、「おはようございます」・「こんにちは」・「さようなら」 といった意味で、
早朝から午後の明るい間まで、幅広く使われる。他方、Buona sera.は「良い夕方
を(お過ごしください)」が原義で、「こんばんは」・「さようなら」 といった意味で、午後
やや暗くなってから夜にかけて、これまた幅広く使われる。

 その昔、筆者がフィレンツェのホテルに宿泊していたとき、夕方、フロントの管理人に
“Buona sera.”と丁寧に挨拶したのだが、彼は“セーラ Sera.”とだけ返事をした。
seraは「夕方」という名詞であって、肝心の「良い」という意味のbuonaが省略されて
いる。このままだったら、筆者の夕方は別に「良い夕方」にならなくてもよいことになる。
筆者はホテルの客なのだから、当然管理人のほうが丁寧な表現を使うべきであろうと
思い、彼が筆者に“ Buona sera. ”と挨拶した後に、筆者が“Sera.”と言ってやろうと
身構えていたのだが、向うは全然先に挨拶する気がなくて、とうとうそのチャンスが
訪れることはなかった。

 しかし、ずっと後になって分かったことであるが、“Sera.”だけでも、別に相手を軽く
見ているわけではなく、また、“Buona .”だけでも良いらしい。なお、“Buona sera.”
が使える時間帯であるが、特に「午後暗くなってから」でなくても、「昼食が済んだら」・
「正午が過ぎれば」と人によってまちまちのようである。南伊の港町ターラント出身の
ニコ・ヴォッザ Nico Vozza氏によれば、“Buona sera.は夕方4時以降、薄暗く
なったら用いる。したがって、日暮れの早い冬場は早くから、なかなか日が暮れない
夏場は遅くなってから用いられる”とのことだった。
どうやら、個人差・方言差もあるようだ。




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カテゴリ:イタリア語万華鏡 古浦敏生

古浦敏生(こうら・としお)
広島日伊協会理事 故マリーザ・バッサーノさんよりイタリア語を学ぶ。
広島大学名誉教授。言語学専攻。
by hiroshimaitaly | 2011-11-07 12:09 | イタリア語万華鏡 古浦敏生 | Comments(0)

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