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イタリア語万華鏡22 『 語の長さ 』

055.gif  『イタリア語万華鏡』 古浦敏生より 

22 『 語の長さ 』


イタリア語の最上級には、相対最上級と絶対最上級の2種がある。
相対最上級は、“ある一つの物や人の性質・状態が他の複数の物や
人と比べて「最も~」”という、英語などでもおなじみの最上級である。
これに対して絶対最上級は、“ある一つの物や人の性質・状態が他と
比較することなく漠然と「非常に~」”という最上級である。

絶対最上級の形容詞は、原級の形容詞(たとえば、キアーロchiaro
「明るい」・ファーチレfacile「容易な」)に接尾辞イッシモ-issimoを付し
(キアーリッシモchiarissimo「非常に明るい」・ファーチリッシモfacili
ssimo「非常に容易な」として)形成する。
そして、絶対最上級の副詞を形成する場合、原級の形容詞に接尾辞
イッシマメンテ-issimamenteが付される。
たとえば、「非常に明るく」の場合はキアーリッシマメンテchiarissima
mente、「非常に容易に」の場合はファーチリッシマメンテfacilissima
menteとなる。

さて、chia-ris-si-ma-men-te(6音節)・fa-ci-lis-si-ma-men-te
(7音節)くらいの語の長さであれば問題はないのであるが、原級形容詞
コラッジオーゾcoraggioso「勇敢な」の絶対最上級副詞「非常に勇敢
に」を形成しようとすると、これに接尾辞-issimamenteを付さねばなら
ないので、コラッジオージッシマメンテco-rag-gio-sis-si-ma-men-te
(8音節)となり、この語はイタリア人にとっては長すぎるとされている。
このような場合、コン・モルト・コラッジオcon molto coraggio「大いなる
勇敢さでもって」(conは前置詞「~でもって」、moltoは形容詞「大いなる」、
coraggioは名詞「勇敢さ」)という前置詞句の表現に代えられる。
どうやら、イタリア人にとって、語の長短の分岐点は、7音節と8音節との
間にあるらしい。

なお、イタリア語の語彙の中で最も長い語は、学術用語は別として、プレチ
ピテーヴォリッシメーヴォルメンテpre-ci-pi-te-vo-lis-si-me-vol-men
-te「大急ぎで」(11音節、26文字)だとされている。
(池田廉ほか編『伊和中辞典』改定第二版、1999、小学館、p.1094)。
イタリア語万華鏡22 『 語の長さ  』_a0125731_18554535.jpg

写真:ラヴェンナ(中央はドゥオーモ「大聖堂」、1734建立)


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カテゴリ:イタリア語万華鏡 古浦敏生

古浦敏生(こうら・としお)
広島日伊協会理事 故マリーザ・バッサーノさんよりイタリア語を学ぶ。
広島大学名誉教授。言語学専攻。
by hiroshimaitaly | 2011-12-19 18:50 | イタリア語万華鏡 古浦敏生 | Comments(0)

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