イタリア語万華鏡25 『 ヴェネツィアの魚釣り 』
2012年 01月 02日
25 『 ヴェネツィアの魚釣り 』
2005年9月7日、ミラノから特急エウロスター号に乗り、ヴェネツィア・
サンタ・ルチーアVenezia Santa Lucia駅に到着した。
満員のヴァポレットvaporetto「水上バス」でサンマルコ広場Piazza
San Marcoに向かう。カナル・グランデCanal Grande「大運河」は
様々な船が右往左往するので、波も激しく、当然、魚釣りなどする人
は居ない。
しかし、ゴンドラgondolaがときどき行き交う狭い水路では、水面は
穏やかであるし、釣り客が居てもおかしくはない。しかし、なぜか太公望
は皆無なのである。このことをヴェネツィアに住む旧友、浅井朋子(あさい
・ともこ)女史に尋ねてみると、次のような回答があった。
“先日ヴェネツィア人で釣りをする人にカナーレcanale「運河」で釣り
をするのは禁止されているのかどうか訊いてみました。
法律的に禁止されているわけではないが、こんなに汚染されている所で
誰も釣りはしないよ、と言われました。もっともジュデッカ運河Canale
della Giudecca「ジュデッカ島とヴェネツィア本島との間の運河」は
流れがあるので、釣る人もいるようだ、とのことです。
ふつう釣りの好きな人はボートを持っていて、あるいは、借りて海へ
乗り出すそうです”。
さて、カナーレcanale「運河」はカナルcanalと語尾を切断してもよい
ことになっている。
この種の例としてブオーノbuono「良い」がブオンbuonとなったり、
シニョーレsignore「ミスター」がシニョールsignorとなったりする。
一般に、l、m、n、rに直続する語尾のe、oが切断されるのであるが、
発音を容易にするためとされている。
写真:ヴェネツィアの大運河、カナル・グランデ(中央はリアルト橋
1588建立。
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カテゴリ:イタリア語万華鏡 古浦敏生
古浦敏生(こうら・としお)
広島日伊協会理事 故マリーザ・バッサーノさんよりイタリア語を学ぶ。
広島大学名誉教授。言語学専攻。