イタリア語万華鏡27 『 右と左 』

055.gif  『イタリア語万華鏡』 古浦敏生より 

27 『 右と左 』

日本では車は左側通行であるが、イタリアでは右側通行である。
このようにお国柄によって「左右」の扱い方は異なる場合がある。
ところで、ことばの面ではどうであろうか。
日本語における「右」を含む慣用句では、「最右翼(=あるグループ
内の筆頭の位置)」・「右に出る者が居ない(=傑出している)」・「右職
(=高官)」・「右族(=勢力のある家筋、尊い家柄)」に代表されるように
、「右」には“傑出した”・“有能な”・“高い地位の”・“勢力のある”といった
ポジティヴな意味が内包されている。これに対して、「左」を含む慣用句
では、「左遷(=高い官から低い官に落とされること、遠地に移される
こと)」・「左前になる(=物事が順調にいかなくなる。
商売や金まわりが悪くなる)」・「左巻(=左の方へ巻くこと。頭の働きが
狂っていること)」・「左計(=しくじり、失敗)」に代表されるように、“降格
の”・“順調でない”・“狂った”・“正しくない” といったネガティヴな意味が
内包されている。
イタリア語における「右」を含む慣用句としては、以下のものがある。
なお、イタリア語ではデストゥロdestroが「右」で、シニストゥロsinistro
が「左」である。

 cogliere il destro「右をつかむ(=チャンスをつかむ)」
 dare la destra (parte)「右(側)を与える(=(敬意を表してその人
 の)左側に立つ)」
 destro di mano「手に関して右である(=手先が器用な)」
 essere il braccio destro di qlcu.「誰それの右腕である(=有能な
 部下である)」

次に、イタリア語における「左」を含む慣用句としては、以下のものがある。

 individuo sinistro「左の人物(=冷酷な人)」
 occhiata sinistra「左の目付き(=恐ろしい目付き)」
 sinistrosità「左回りであること【=(保険での)事故発生率】」
sinistro stradale「道路の左(=交通事故)」
 un sinistro presagio「左の前兆(=不吉な前兆)」

これらの用例を検討すると、イタリア語においても日本語と同様に、「右」
を含む慣用句では、
“チャンスの”・“尊敬できる”・“器用な”・“有能な”といったポジティヴな
意味が内包されている。これに対して、「左」を含む慣用句では、“冷酷な”
・“恐ろしい”・“事故発生の”・“不吉な” といったネガティヴな意味が内包
されている。
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(FOTO:フィレンツェのダンテの家)


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カテゴリ:イタリア語万華鏡 古浦敏生

古浦敏生(こうら・としお)
広島日伊協会理事 故マリーザ・バッサーノさんよりイタリア語を学ぶ。
広島大学名誉教授。言語学専攻。
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by hiroshimaitaly | 2012-01-10 14:06 | イタリア語万華鏡 古浦敏生

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