イタリア語万華鏡36 『 市バスの乗り方  』

055.gif  『イタリア語万華鏡』 古浦敏生より 

36 『 市バスの乗り方 』

バスはイタリア語ではアウトブスautobusと言う。「ブスではダメ」
と言っているような語感である。
市バスはローマでもミラノでもフィレンツェでも同じミカン色の車体で
ある。市バスに乗ろうと思うと、まずタバコ屋に行って切符を買わねば
ならない。値段は市内一律であるので、たとえば3人で乗るときには
“トゥレ・ビリエッティTre biglietti ! 「切符3枚 !」”と言って買う。

1971年頃、筆者は半年以上この調子で切符を購入していた結果、
帰国してしばらくは、「回数券」という単語が思い出せなかった。
運転手に“あのー、切符が何枚も繋がっているのは何て言いました
っけ?”と尋ねる始末であった。そもそも切符なるものは1度使えば
「使用回数1」であり、その切符は「1回券」である。
要するに「何回使用できるのか?」が問題なのだから、たとえば「10枚
券」とか「10回券」とかいった明確な表現にすべきであろう。
(最近、広島地区では、カードをタッチすると自動的に普通運賃が引き
落とされるICカード、パスピーPASPYが広く利用されている。)
2005年、パドヴァの市バスに乗り込むとき、車内に日時を打ち込む
機械があって、それに切符を差し込んでガジャッと音のする日付印を
押す。これをやっておかないと(その切符は何回でも使用可能となるの
で)違反になる。そして、降りる駅が近づくと押しボタンを「チン」と
鳴らしてバスを止め、下車する。その際、必ずしも運転席横の乗降口か
ら下車する必要はなく、切符は回収されない。
 日本のバスと違って、停留所に名前がない。したがって、自分がどこ
で降りるべきかを知っていないと市バスには乗れないのである。もちろ
ん、車内アナウンスもないワンマンカーである。満員のときには日付印
を押す余裕もなく、無賃乗車せざるをえないケースも出てくる。
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(パドヴァ市のバス切符)

1988年頃のローマでのことである。気楽な運転手が居て、前以てバス   
道路に面したバールにコーヒーを注文しておいて、通りがかりにクラク
ションを鳴らして受け取って運転席で飲むケースに遭遇した。乗客の
一人が“マイ・ヴィスト!Mai visto! 「(こんな光景は)未だかつて見た
ことがない!」”と言って、唖然としていた。しばし理不尽に待たされる。
また、バスの進行方向が分からなくて、客に尋ねる暢気な運転手も居た。

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カテゴリ:イタリア語万華鏡 古浦敏生

古浦敏生(こうら・としお)
広島日伊協会理事 故マリーザ・バッサーノさんよりイタリア語を学ぶ。
広島大学名誉教授。言語学専攻。
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by hiroshimaitaly | 2012-04-02 19:01 | イタリア語万華鏡 古浦敏生

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